ヘアカラーのパフォーマンスを生かす染め方

毛束での染毛試験

ヘアカラーを開発するとき、市販の毛束を使って染め付けて色評価することがあります。10cm1gの毛束に、染色液を塗布し37℃に調整した恒温槽内に所定時間放置。

水洗、シャンプー、コンディショナーで処理しタオルドライ後ドライヤーで風乾。

色差計で評価するか、目視で色票と比べて判定します。

条件によっては結果に差が出る

このような簡単な手順のものでも、いくつかのポイントで結果が分かれます。

そのポイントでの条件をオンヘッドに移しても結果に反映されます。

毛束での試験で実際とは違う部分も多いのですが、パフォーマンスを向上させるのに参考になることもあります。

浴比(対象の毛の重量と染色液の使用量の比率)

浴比が1:1より染色液の量が少ないと、まず均一に塗り広げにくい。均一に見えてもムラ染めになることがある。→染色液は多いほど均一に染めやすい。

浴比が1:2を超えて染色液が多いとオンヘッドの結果より良く染まります。 

(=実際より良い結果になる)

毛髪の水分量

使う毛束がシンメリしているくらい(生乾き)水分を含んでいると、乾いている髪に直接染色液を塗布する場合と比べて、きれいに発色し、均一に入ります。

もちろん染色液には充分な水分は含まれているはずですが、

(限度はあります)10%単位で見ると、水分量が多いほどよく染まります。

生乾きの髪での結果から言えることは、染色液と同じくらい、対象の毛束の状態が結果に大きく影響するといえます。

浴比の別の側面

浴比を少し大きめでスタートして、5分後くらいに染液を下げても、浴比が大きなままで放置したのと比べてもそん色のない仕上がりになります。

事前に少し湿っている方が良いという結果と符合しています。

まとめ

浴比は一定にしたほうが、結果が安定します。

生乾きをうまく達成できれば、染色はうまくいきます。

浴比による影響は、最初5分くらいは大きいが、そのあとは少ない量で充分染まる。

その他(追加)

発色は液の混合より、染め重ねのほうが、感覚に近い混色になる。

塗布後5分と同じ状態(膨潤だと思います)にすれば、染色液の量は少なく済みます。

結果の良し悪しは、染色位置の違いで説明ができそう。

ヘアカラーの仕上がりは、染色液の性能が大切なことは事実ですが、上記のように髪の状態による部分も決して小さくはない。(膨潤の項 参照) 

オンヘッドの場合でも、ヘアカラーの直前は生乾き程度には毛髪内の水分が必要。髪の状態を根本と毛先で親水性あるいは撥水性を近づけておくほうが、均一に染めるには有利。この回では毛髪や染色液の温度、ダメージ度合い、リフトしたい程度などは考慮されていませんので、基礎的な条件と考えてください。

 

  

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