いろいろ試すときの注意
ヘアカラーのミックスで出る色を探求するとき
観察項目として、当日の仕上がりと経日的な変化、シャンプーや紫外線に対する変化への抵抗性の変化、透過光と反射光を合わせての評価で室内や屋外での見え方などがあります。
単に混ぜて染めるだけでは済まないものです。
同じように、いろいろと試すときの注意点を2、3並べます。
アルカリ処理をしたものを酸処理で元に戻せるわけではない。
酸アルカリの中和とダメージの回復は同列の事象ではないので
髪の状態とpH を直接くっつけて考えてはいけません。
アルカリ処理の後酸処理で元の状態に戻らないからといって、効果がなく無駄というのではなく、アルカリで切れたイオン結合や膨潤させてしまったのを、酸では回復できないだけです。ですから、手触りの評価だけでは有効かどうかは判断できません。
pH調整はイオン結合を再結合するには効果的な処理なのです。
もちろん再結合はアルカリの影響を除いた後、水分を飛ばして結合のサイト同士を物理的に近づけないと戻りません。
数回の繰り返しならよいが、繰り返し数が多くなると困ることがある。
酸性カラーは酸化染毛剤と比べて髪の損傷が低いといわれていますが、
酸性カラーの製品のpH (大体pH 2~3)だと、繰り返しで髪はずいぶんもろくなります。染まりが悪くなるだけではなく毛が固くこわばったような状態に近づきます。
こんな風に、探索中に良い結果が出ても
繰り返しという要素を忘れると意外なところで悪い結果につながってしまいます。
構成要素と機能を分けて考えることが大切
キューティクルが傷んだ状態で、
- 仮にエンドキューティクルと同じ成分のコーティングができるとしたら、硬くて曲がりにくい髪になるでしょうね
- 仮にキューティクルCMCと同じ成分で髪を包んだらシャンプーで簡単に取れてしまうでしょうね
- キューティクルと同じような機能を付与してやれば、キューティクルの要素とは関係なくても、キューティクルが回復したのと同じ結果になりそうです
構成要素についての情報だけで回復したい或いは欲しい機能について考慮しないと、理屈ではうまくいっているはずなのに結果が伴わないことになります。
最後に、いろいろなテストをする際に、評価ができるかどうかが大変重要であると申し添えておきます。
彫刻の良い悪いが分からない人が、彫刻の名人にはなれません。
以上