ヘアカラーの脱脂力を考えます。
ヘアカラーの成り立ち
ヘアカラーの主成分は、酸化染料中間体(1剤)と過酸化水素(2剤)で反応性を高めたり、髪への浸透を促進したりするためにアルカリ剤、剤の安定性を維持するための酸化防止、金属封鎖、過酸化水素の分解防止などの仕事をする成分でできています。
更に、髪に塗布しやすくするために適度な粘りや硬さ、損傷を少しでも抑制したいのでトリートメント成分(油性、水性とも)が使われています。
密封した容器に入れて、3年以上安定でなければいけないので乳化物で提供するときは経時安定性も性能の一部ともいえます。染料中間体や酸、アルカリに過酸化水素など乳化を安定させるには障害になりそうなものが多く含まれます。その上で使い心地の良いものを調整するには乳化剤の工夫が必要です。
このように、製品を設計するときに必要なことを並べて、改めてその原料を見直すと、
脱脂力の強いものが多く含まれることに気付きます。
例えば
l アンモニアはアルカリ剤として使われますが、ガラスクリーナーに使えるくらいの性能を持っています。
l 過酸化水素は酸素系の漂白剤に使える。
l 乳化剤というのは油と水との仲立ちをして油を水の中に安定させるので油汚れを落とす力も強い。
髪の表面から皮脂や18MEAとかの油脂類を落とすのにどれもが強く働きます。
ヘアカラーの毛髪損傷は強い酸化力によるものですが、仕上がった時の髪の表面からの油脂類の除去はパサつきや髪の乾燥に直結していて、主に感触面で傷みを感じさせ、表面のバリアを外してしまうことで、経時的な損傷の進行にも関係しています。
実際ヘアカラー後の手触りは、トリートメントで改善されますが、その日の自宅でのシャンプーの時に手触りが悪化していることも事実です。
これを改善するには、ヘアカラーによる脱脂を補う手立てを講じることが必要です。
私は皮脂に近い性質の油を調製して使いますが、染毛直後でも乾燥や傷みによる手触りの悪化は感じない程度に軽減できます。このことからも、ヘアカラー直後のトリートメントでは、損傷に対するケアだけではなく、効果的に皮脂を回復させるような手順を入れ手触りに対するケアも快適なヘアカラーにとって効果的です。